障害者就労施設等を支援する施策がスゴイ
国や地方自治体は、一般業者とともに、障害者就労施設等から物品の調達やサービスの提供を受けています
ただ、就労施設等を優先して調達等を行うという、障害者福祉の一つの施策として行われています
これは、障害者優先調達推進法という法律に基づくもので、毎年度、予算を確保して行われています
ここで言う障害者就労施設等には、就労移行支援や就労継続支援、生活介護などを行う事業者が含まれます
障害者優先調達の施策の概要
この施策では、障害者が就労によって経済的な基盤を確立し、自立した生活を送るために・・・
- 障害者雇用を推進させるための仕組みを整える
- 障害者就労施設等の仕事を確保して、経済基盤を強化させる
・・・ということを重視して、次のような物やサービスを調達しています
- 文房具などの事務用品や小物雑貨
- 印刷業務
- 封入・封かん・発送業務
- クリーニング業務
- 施設の清掃・管理業務
- 情報処理・テープ起こし業務 ・・・など
参考リンク:障害者福祉施設が提供できる物品・役務の情報リスト(東京都)
この施策のスゴイところは、以下の2つにあります
優先的な受注が期待できる
この施策では、就労施設等が提供する製品やサービスを優先して調達するほか、契約についても優遇されます
調達の決定と契約は、随意契約(調達先を任意に選択して契約する方式)を積極的に活用するものとされています
通常は、契約の競争性と透明性を確保するため、競争入札の方式によります
これにより、大手業者などと競争することなく受注できる可能性があるということになります
なお、調達先の選定は、要件を満たしているなどの条件が自治体ごとにありますので、事前の確認が必要です
参考リンク:障害者優先調達方針及び調達実績(東京都)
自治体がPRしてくれる
自治体によって、就労施設等が提供する製品やサービスをPRしてくれる制度や施設があります
これにより、販売する製品や提供するサービスの販路拡大が期待できます
東京都が行うPR施策として、自主製品魅力発信プロジェクト「KURUMIRU」があります
都内3箇所に店舗が設置され、都内の事業者の製品が紹介・販売されています
今回紹介した障害者福祉施策は、障害のある方々を支える一つの施策で、まだまだ小さな施策かもしれません
でも、この施策は、障害のある方々の活動が見え、生産物が広く世に広まる絶好の機会となっています
これは、障害のある方々の働くモチベーションの向上につながり、社会参画の意識も高めるものだと思います
更に、人手不足という課題に対し、障害のある方々の活動でもって補うこともできるかと思います
また、就労施設等が提供する製品やサービスの種類・分野が今以上に広がる可能性もあります
今までの障害者福祉は、社会が障害のある方々を支えるという構図でした
でも、このような施策によって、"障害のある方々も社会を支える" という姿に変わることになるかと思います
そうなれば、身体的・精神的な個性を社会生活上の障害として捉えている現状も変わることでしょう