ひな形に頼り切ってはダメ:運営規程の策定の3つのポイント

障害福祉サービス事業の開業に伴う指定申請では、運営規程の提出が求められます
また、運営指導(旧実地指導)においても運営規程の内容が確認されます

運営規程とは、障害福祉サービス事業の運営の骨幹となる基本事項を定めたものです
事業運営の方向性、実施事項や配慮事項などが示される規範という位置づけです

従業員は、運営規程を参照して、自らの仕事・日頃の業務を進めることになります
しかし、非常に重要な運営規程ですが、記載される内容が形だけとなることがあります
職場や実務の実態と異なる、必要事項の記載がないなどの事例が現実的にあります

今回は、運営規程が形だけにならないようにするポイントを解説します
指定申請などで新規で運営規程を策定する方や、運営規定の見直し作業が進んでいないという方は必読です

形だけの運営規程にしないための3つのポイント

形だけの運営規程とは、信頼に値しない内容となっていることが大きな要因です
次の3つの事項は、そのような要因を排除するためのポイントです

  • ひな形やサンプルを頼りすぎない
  • 他で示せるなら無理に細かく記載しない
  • 関係書類と整合をとる

ひな形やサンプルに頼り切ってはダメ

新規に運営規程を策定する際、何かを参考に作業を進めることになります
従前に勤務していた事業所等の運営規程を参考にすることも考えられます
また、ネット検索で多くの情報とともに、ひな形やサンプルを入手できます

参考とするひな形などは、既に大枠が決まっているので非常に助かります
しかし、記載されている項目や内容は、自分らの事業の特性や実態と異なる部分があります
また、指定を受ける・受けている自治体によっては、記載を必須としている項目・内容がありますので確認が必要です

ひな形などは、記載すべき項目と内容を整理し、文書として取りまとめる際に活用するものです
ひな形などに頼り切って、ほぼコピー版の運営規程とならないようにしてください

他で示せるなら無理に細かく記載しない

運営規程で定め、記載すべき項目と内容は多くあります
困るのは、項目ごとに記載する内容が複雑、ボリュームがあるなど、文章として表現するのが難しいことです
そのような場合、箇条書きや表組みで記載するとシンプルになり、読みやすい文章となります

その他の方策として、他の文書などで示せるなら、運営規程で細かく記載しないとすることができます
例えば、事故発生時の対応、虐待防止、苦情解決などに関する規定は、それぞれに指針やマニュアルなどで細かな内容を示すようにします
更に、運営規程では、主旨を述べた後に「細部は、○○○○○指針による。」と記載することで、内容の複雑さなどを解消することができます

なお、運営規程のほかに、法令等で策定が定められている指針やマニュアルの策定がありますので、併せて整備する必要があります

関係書類との整合をとる

運営規程に記載される内容は、他の指定申請書類のほか、各種の指針やマニュアルなどの内容と整合がとれていなければなりません
例えば、運営規程中の人員や勤務に関する事項は、就業規則や体制届の内容と同じでなければなりません
また、重要事項説明書の内容も運営規程の内容と整合がとられていなければなりません

従って、運営規程の策定にあっては、他の書類との比較照合を行う必要があります
また、人員や勤務、業務処理手順などに変更がある場合は、関連する書類全てを確認し、変更に伴う修正をする必要があります
この作業を怠ると、運営規程のほか、業務にも必要なマニュアルなどの信頼性が低下し、形だけのものとなります

まとめ

障害福祉サービス事業の運営規程は、事業の基本方針や運営方法を示す重要な文書です
しかし、形骸化した運営規程では、その効果を発揮することができません

以下の3つのポイントを踏まえ、実際の業務に即した運営規程を策定することが重要です

  • ひな形やサンプルを頼りすぎない
  • 他で示せるなら無理に細かく記載しない
  • 関係書類と整合をとる

これらのポイントを踏まえ、信頼性の高い運営規程を作成しましょう