低賃金でも人材を惹きつける!障害福祉サービス事業におけるモチベーションアップのためのポイント
目次
障害福祉サービス事業における人材不足は、改善の兆しが見えない現状にあります。
また、人材確保と退職者対策は、どの業界・業種でも大きな経営課題となっています。
昨年度行われた障害福祉サービス事業等の人材確保に関する調査結果からでも人材不足の厳しさが明確に伝わってきます。
参考資料:障害福祉サービス事業等の人材確保に関する調査結果(WAM NETより)
当該調査結果においては、人員確保が難しい要因の1位が「他産業より低い賃金水準」となっています。
また、定年退職者以外の退職者の退職理由として、「体調不良」、「職場の人間関係」による退職者が「賃金水準」を上回る結果が出ています(2022年度調査結果)。
なお、体調不良は、身体的負担だけでなく、心的負担も要因となっているようです。
人員確保には、賃金アップが効果的と考えられますが、退職対策を考えると、職員のモチベーション(勤務意欲)の維持向上も重要であることが伺えられます。
これらの現状を受け、今回は、障害福祉サービス事業における職員のモチベーションアップについて考えます。
モチベーションの維持向上に必要なこと
結論として、「何事についても明確であること」が必要となります。
職場でありそうな状況として、次のようなことが挙げられます。
- 目的・目標がない将来指針(ビジョン)
- 目的・目標が示されない指示
- 自分の成長や成果が実感できない
- 意見交換や情報共有がない
これらのほとんどが、コミュニケーションの不足・不調によるものです。
- 分かっているはず・分かってもらえるはず
- 察してくれる・察しているだろう
このような感じでは、明確さを欠き、疑念や不満などが湧いてくるのは当然のことです。
疑念や不満など避ける・抑えるためには、明確にすることが非常に重要なことです。
- 分かっているはずでも、あらためて明確にする。
- 察してもらうのではなく、理解・認識してもらう。
このように事業主や管理者、職員らの能動的な相互コミュニケーションが、個々のモチベーションを維持向上させます。
このことを前提に、職員のモチベーション維持向上のためのポイントを次に列挙します。
モチベーション維持向上のためのポイント
明確な目標設定とビジョンの共有
職員のモチベーションを高めるためには、事業所全体としての明確なビジョンを設定し、それを全職員と共有することが不可欠です。
ビジョンが明確であれば、職員は自分たちの役割や貢献の意味を理解しやすくなります。
また、ビジョンを共有することで、職員が組織の一員としての意識を持ち、自分たちの仕事がどのように利用者や事業に貢献しているのかを実感できるようになります。
これにより、日々の業務に対する意欲が高まり、長期的なモチベーションの維持にも繋がります。
継続的な教育と研修の提供
職員が自分の成長を実感できる環境を整えることは、モチベーションアップに直結します。
定期的な研修や教育プログラムを通じて、職員が新しい知識やスキルを習得できる機会を提供することで、自信が深まり、意欲が高まります。
また、キャリアアップの機会の提供や自己啓発のためのサポートをすることで、職員が長期的なキャリアビジョンを描きやすくなり、それがモチベーションの維持につながります。
フィードバックとコミュニケーションの強化
職員が自分の仕事に対してどのような評価を受けているのかを知ることは、モチベーションを高めるために重要です。
定期的なフィードバックを行い、職員が自分の業務に対する改善点や成果を把握できるようにすることで、業務に対する意欲が向上します。
また、事業主や管理者、職員同士でオープンなコミュニケーションを促進することで、職場内の信頼関係が強化され、職員が安心して働ける環境が整います。
これにより、職員のストレスが軽減され、仕事に対するモチベーションが維持されやすくなります。
ワークライフバランスの推進
利用者に対するサービスの提供を任務とする職員は、身体的・心的に健康であることが重要です。
そのためには、柔軟な勤務時間の導入や有給休暇の取得促進などのワークライフバランスを推進する取り組みが必要不可欠です。
また、職場内でのメンタルヘルスケアなど、職員がプライベートと仕事を両立できる環境を整えることで、仕事に対する満足感が向上し、モチベーションの維持に繋がります。
成果を感じられる制度の導入
モチベーションアップのためには、職員個々の努力や成果が認められることも重要です。
成果に応じた報酬制度や表彰制度などを導入すると、成果を形として確認できるので、職員が目標達成に向けて努力する意欲が高まります。
なお、それらの制度は必ずしも金銭的なものに限る必要はありません。
特別休暇の付与や、スキルアップ研修への参加の機会を提供するなど、職員のモチベーションを高める多様な方法を組合わせると良いでしょう。
加えて、事業主や管理者からの感謝の言葉や、同僚からの称賛など、職場全体で感謝の気持ちを伝え・共有することで、職員一人ひとりが大切にされていると感じ、モチベーションが維持されやすくなります。
チームワークの強化
障害福祉サービス事業は、チームでの協力が欠かせない業務が多いです。
そのため、職員同士が信頼し合い、協力して働ける環境を整えることが重要です。
定期的な研修では、複数の職員による共同作業・ワークの機会を設けることで、職員間の連携が強まり、チーム全体のモチベーションが向上します。
また、職場内の良好な人間関係は、職員の働きやすさに直結し、結果的にモチベーションアップに繋がります。
まとめ
障害福祉サービス事業の存在意義は利用者に対するサービスの提供であり、その原動力は職員の存在とモチベーションです。
今回紹介したポイントを組み合わせて取り入れることで、職員が働きやすく、やりがいを感じられる環境が整えられます。
職員のモチベーションを維持向上させる取り組みを継続的に行い、事業全体の成長を目指しましょう。